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2010.02.03 *Wed
93.甘い毒虫
びちゃん。
左の頬に、何か冷たいものがくっついた。
驚いて、払おうとしたら今度は、びちゃん、触ろうとした手に、くっついた。
白くて、ふわふわした、小さな塊だ。よくみたら塊が風に乗って空気中に舞っている。
一斉に羽化した毒虫みたいに。立っているだけで、フックの髪に、首筋に、白く積もり始める。右手の甲をなめてみたら、甘かった。
甘い毒虫の正体を知りたくて、風上に向かってガウンの胸元を押さえながら歩いていった。小さな生き物の足跡みたいに、ぽとぽとと白い塊が並んでいる。奥にいくほど、雪が積もったように白い甲板になっている。
「まさか。」
眼の中に入る白いふわふわ。ぶあつい夜の霧。その向こうに、ついに現れたのは巨大な、闇に浮かぶパステル色のケーキだった。
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左の頬に、何か冷たいものがくっついた。
驚いて、払おうとしたら今度は、びちゃん、触ろうとした手に、くっついた。
白くて、ふわふわした、小さな塊だ。よくみたら塊が風に乗って空気中に舞っている。
一斉に羽化した毒虫みたいに。立っているだけで、フックの髪に、首筋に、白く積もり始める。右手の甲をなめてみたら、甘かった。
甘い毒虫の正体を知りたくて、風上に向かってガウンの胸元を押さえながら歩いていった。小さな生き物の足跡みたいに、ぽとぽとと白い塊が並んでいる。奥にいくほど、雪が積もったように白い甲板になっている。
「まさか。」
眼の中に入る白いふわふわ。ぶあつい夜の霧。その向こうに、ついに現れたのは巨大な、闇に浮かぶパステル色のケーキだった。
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