2010.02.12 *Fri
96.寝ちゃおう
フックは部屋に逃げ込む。料理長の目が怖かった。あれは本当のことがわかっている目だった。海賊たちに、フック船長がピーターのケーキを食べたことが知れわたるだろう。そうしたら、みんなどう思うだろう。敵の贈り物をほおばる船長、お腹を壊す船長、閉じこもる船長。薄暗い部屋で、フックは思い浮かべた。今年に限って一斉に船長の誕生日を忘れた部下たちの顔。
「寝ちゃおう・・・」
ふとんをかぶったら、小人になった気分がした。船長じゃなくて、靴屋さんだったらよかった。トンカントンカン木槌でうつ。でも、靴を創ったことはない。ごろごろごろごろ、お腹が鳴る。あの時、なぜ、あんなに大口を開けて食べたのだろう。思い切りがよすぎた。
フックが、丸まり縮こまり眠るころ、船長室の四隅で、きょときょとと動き出すものがあった。
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「寝ちゃおう・・・」
ふとんをかぶったら、小人になった気分がした。船長じゃなくて、靴屋さんだったらよかった。トンカントンカン木槌でうつ。でも、靴を創ったことはない。ごろごろごろごろ、お腹が鳴る。あの時、なぜ、あんなに大口を開けて食べたのだろう。思い切りがよすぎた。
フックが、丸まり縮こまり眠るころ、船長室の四隅で、きょときょとと動き出すものがあった。
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